包丁って砥いでいますか?
トコログは結構な頻度で料理をするので、砥石を使って研ぎ直しをしています。
しかし最近では包丁を砥ぐという文化が薄れ、ロールシャープナーや茶碗の裏でお茶濁して使っている人も多いみたいです。
個人的にはやはり砥石でしっかり砥ぐと包丁が長持ち、切れ味にも影響するので今回は砥石について紹介したいと思います。
シャープナーじゃダメなのか?
良くキッチン用品のコーナーにはシャープナーという商品売っていますね。
刃を溝にいれて数回通すだけでそこそこ切れるようになる便利なアイテムです。
これ以外の方法に茶碗の裏で数回擦る方法やアルミホイルを切るという方法があります。
切れ味が戻るならそれでいいのでは?と思ってしまいますが、やはり砥石で砥ぐのとでは雲泥の差があります。
シャープナーはなぜ切れ味が戻るのか?
それではなぜシャープナーで切れるように感じるのか?
シャープナーは基本的には砥ぐ事を目的にした物では無く、刃にギザギザを作ることを目的にした商品です。
ノコギリ状の刃を作る事によって一時的に刃が食いつき切れるようになります。
シャープナーを使い続けると刃が丸くなる
包丁は使っていく内に段々と刃先が潰れ丸くなります。
砥石で砥ぐ場合は刃の角度保ったまま刃を削るので刃の角度を保てます。
しかしロールシャープナーでは包丁に適した鋭角を保てずに、段々と刃が丸く潰れていってしまいます。
図にするとこんな感じになります。
図の用にシャープナーは刃先の角度が鈍角になり繰り返して使用すると刃が丸くなり、段々と切れ味の持ちが悪くなっていきます。
シャープナーは砥石を使う暇が無い時にに向いていますが、常用すると刃が悪くなるので注意しましょう。
実際に包丁メーカーの藤次郎でも、シャープナーを使用する場合でも砥石でしっかり砥ぐ事を推奨しています。
参考:藤次郎|シャープナーの効用
実際に研いでみる
今回は一般的な三徳包丁を砥いでみたいと思います。
この三徳包丁は貝印の関孫六5000CLという割り込みタイプの包丁です。
値段は3000円台とかなり安いですが使われている鋼材がいいのかかなりいい切れ味してます。
かれこれ4年近い付き合いですが、砥石で研いでいるお陰かまだまだ全然使えます。
実家の包丁に至っては20年くらい使っているのでそれくらいまで使いたいですね。
砥石を用意
包丁を砥ぐにはやはり砥石が必要という事で砥石を用意しましょう。
今回使用する砥石は貝印のコンビ砥石とスエヒロの砥石です。
貝印 コンビ砥石セット #400・#1000
今回使用した貝印のコンビ砥石はリバーシブルで400番と1000番が使えます。
そして台座が付いてきたりと一番最初に買う砥石としてはかなり使い勝手いいと思います。
貝印コンビ砥石のスペック
型番 | AP-0304 |
サイズ | 254×95×56mm |
重量 | 735g |
材質 | グリーンカーバイト (研磨剤・#400・1000相当) |
原産国 | 中国 |
使用できる刃物 | ステンレス・ハガネ兼用タイプ |
材質のグリーンカーバイトは砥粒の中でもかなり硬いので、ステンレス製の包丁でも研ぐことができます。
ちなみに昔ながらの茶色い砥石は褐色アルミナと少し柔らかい砥粒なので硬いステンレス(中砥)には向いていないので注意が必要です。
貝印コンビ砥石の特徴
この砥石の特徴として
- #400・#1000の両方が使えるので最初の砥石に最適
- 付属の台座に水を貯めれので水を砥石に垂らす時に便利
- グリーンカーバイドと硬い砥粒なのでステンレスでも砥げる
といった感じです。
ただシャプトンのセラミック砥粒と比べると損耗が激しいのと、水に付ける作業が必要だったりもします。
ただ削れた砥粒の研磨効果もありシャプトンの1000番より仕上がりは良いように感じます。
スエヒロ WA3000
こちらは仕上げ用のスエヒロのWA#3000になります。
仕上げ砥石としては安くて使いやすくて結構気に入って使っています。
スエヒロ WA#3000のスペック
型番 | AP-0304 |
サイズ | 183×63×21mm |
重量 | 454g |
材質 | WA(ホワイトアランダム) 3000度 |
原産国 | 日本 |
使用できる刃物 | ステンレス・鋼両用 |
こちらの砥石はホワイトアランダムというアルミナ系の砥粒を使っています。WAはGCやセラミックなどと比べると柔らかいですが、アルミナ系では一番硬く仕上げ用では人気の砥粒です。
特に刃物の切れ味を出すのに向いている砥粒ということで仕上げ用にWAを好んで使い人も多いみたいです。
砥石は何番を用意するといいのか?
砥石には粗さがあり、数字が低いほど粗く、高いほど細かくなります。
簡単に言えば紙やすりの番手と同じ感覚です。
そんな砥石の番手はどれを選んだらいいのか?用途に合わせて選べば良いと思います。
砥石の番手についてはざっくりと表にまとめてみました。
砥石 | 荒砥 | 中砥 | 仕上砥 |
番手 | ~600番 | 800~1500 | 3000~ |
刃の修正度 | 大 | 中 | 小 |
荒砥は刃を大きく修正したい場合に使います。主に刃の欠けや、刃が無くなってしまった時に使います。
中砥は切れ味が落ちたと感じた時にある程度の切れ味まで戻します。家庭などで使うには1000番程度だけでも全然OKです。
仕上砥は切れ味を求めたり、刃がピカピカにもなります。他にも細かい刃先の調整などに使います。3000番や6000で研いだ包丁は紙をスパスパ切れるようになります。
個人的にはとりあえず1000番を一つ購入して、もっと切れるようにしたいなんて場合には仕上砥を買ってみると良いでしょう。
荒砥に関してはある程度切れる包丁なら問題ないと思いますが、数年研いでないとか魚の骨を砕くような使い方をしている場合にはあるといいでしょう。
ただ刃の修正は難しいのでお店で刃を修正してもらうのもありですね。
砥石を水に浸す
一般的な砥石はまず水に浸す必要があります。
目安としては砥石から気泡がでなくなるくらい(10~20分)です。
シャプトンなどのセラミック砥石は吸水性がないので掛水だけOKだったりします。
水に浸したら後は砥ぐだけです。
角度は10円玉2枚を目安に
それでは実際に砥いでいくのですが、砥ぐ時に一番大事なのは角度です。
角度をつけすぎるとシャープナーみたいに刃先にだけ刃がついてしまうので、しっかりと寝かして研ぎます。
一般的な包丁の刃は10度~15度くらいで、包丁の背に十円玉2枚が丁度良い角度と言われています。
私の包丁は割り込み包丁で分厚いので十円玉1枚程度が丁度いい感じです。
後はこの角度を保って前後に大きく砥いでいきましょう。
3~4箇所に分けて砥ぐ
包丁研ぎに慣れない内は砥ぐ場所が偏ったりしてしまいがちです。
なのでしっかりと砥ぐために先端・中心部・アゴなど分けて砥ぐとわかりやすいです。
その箇所を5~10往復くらいを目安に砥ぐといいでしょう。
砥げているかの確認
一通り砥ぎ終わったらちゃんと砥げているか確認しましょう。
まず包丁についている砥汁を水で流します。
包丁の砥いだ面と反対側の刃を指で少し撫でてみるとザラつきを感じると思います。
指を切らないよう包丁の腹から刃先に向けて撫でます
そしてザラつきを感じない箇所は砥げていないので、その箇所を研ぎ直す。
それを繰り返していけばしっかりと砥げます。
両刃の包丁は反対も砥ぐ
一般的な家庭用の包丁は大体両刃の包丁なので、反対側も砥ぐ必要があります。
こちらも角度を意識してしっかりと砥いでいきましょう。
カエリを取り除く・小刃付け
包丁が砥げているか確認したときのザラついたバリを取り除きます。
バリを取り除く時に小刃付けをする刃が長持ちするのですが、仕上砥がない場合は新聞紙などで刃を数回撫でるととれます。
仕上砥がある場合は砥ぐときより少し刃を立てて(45度くらい)先端からアゴまでスッと数回砥ぐだけでOKです。これで小刃付けができます。
砥石を修正
最後に砥石の修正もしておくといいでしょう。
砥石は刃物を砥ぐと中心部がヘコんだりしていきます。
ヘコんだ砥石はうまく砥げなくなったりするので、しっかりと修正してあげる必要があります。
以前はベランダのコンクリートに擦って均していたのですが、修正砥石を買ってみたらめちゃくちゃ便利だったのでおすすめします。
オススメの砥石
というわけで実際に砥石で砥いでみた訳ですが、沢山の砥石が売られていて悩んでしまいますね。
そんな訳でいくつかオススメの砥石を紹介したいと思います。
とりあえずシャプトンを買っとけば間違いない
Amazonでも大人気のシャプトン 刃の黒幕シリーズですね。
シャプトンの砥石は砥粒がセラミックで砥石の減りが少なく、刃がすぐ削れ、使い勝手が良いととても評判です。
その特徴から面がヘコみにくく修正の頻度も少なくなります。
特に1000番のオレンジは荒砥不要というくらい簡単に削れるので、数回砥ぐだけですぐに刃がつく優れものです。
1000番だけでも十分切れ味が戻りますが、シャプトンの1000番は他の砥石と違って砥粒がでないので仕上がりが若干粗くなります。
なので一応2000番も用意しておけば完璧です。
さらに高みを目指す場合に5000番以上を狙っていくといいでしょう。
コスパの良い貝印コンビ砥石
貝印の砥石は今回使用した砥石です。
この砥石は両面砥石で400番と1000番が使えるので、刃がボロボロの状態になった包丁でも研ぎ直す事ができます。
1000番もグリーンカーバイドという事で、VG10の包丁もガンガン砥げます。
とりあえず初めての方やコストを安く抑えたい場合にはこのコンビ砥石が結構おすすめです。
まとめ
ということで今回は砥石で砥ぐのが良いよ!というお話でした。
色々と砥ぐのが難しそうと抵抗感を感じるかもしれませんが、いざやってみると思った以上に簡単です。
しかも少し適当にやったくらいでもシャープナーと比べると段違いきれるようになります。
1000番程度なら刃がおかしくなることもそうそうないので試しに砥いでみましょう。
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